日々子育てに追われ、ついつい余裕がなくなって子どもを必要以上に叱ってしまう…子ども向き合おうとすればするほど、叱るという行動に出てしまう事が多いような気がします。
叱ることは、親として子供の行動を変えるのに効果的な方法であるように思えるかもしれません。しかし、叱ることは、子供が恐怖を感じ、自信を失い、反抗的になる可能性があるため、長期的には害を及ぼす可能性があります。
親だって、穏やかに子どもに接したい!
どうしてすぐに鬼ババになってしまうんだろう?私ってダメな親だ…
このままじゃ子どもとの関係がどんどん悪くなっていっちゃう…
ちょっと待った!
そこには、「叱る依存」という心理的な罠があるのです。
このブログでは、叱る依存を克服し、子供との関係を改善するためのヒントをご紹介します。
叱る依存とは
自己効力感×処罰欲求≒叱る依存
「叱る」という行動が相手の望ましい行動を生み出していると感じると、叱る側には強い充足感が生まれます。これは心理学の用語で「自己効力感」と呼ばれ、叱る人にとってはご褒美になってしまします。
また、人間には本来「他者を罰したい」という欲求があります(「処罰欲求」)。これも脳内の報酬計回路を活発化させ、叱る人にとってのご褒美となります。
つまり、「叱る」という行為によって自己効力感と処罰欲求を満たすことで、人は無意識にその行為に依存していくようになってしまうのです。さらにこれが当たり前の日常になると、叱る側にも叱られる側にも「慣れ」が生じてきます。このため、叱る側はどんどん「叱る」行為をエスカレートさせることになります。
こうして人は「叱る依存」という状態に陥ってしまうのです。
臨床心理士の村中直人氏は、彼の本「叱る依存がとまらない」で、叱りのメカニズムやその真の代償、それを克服するための手順について説明しています。
叱る依存による子どもへの影響
家庭という空間は「叱る」という場面が発生しやすく、さらに「叱る依存」化しやすい条件がそろっています。子育てにおいて「叱る依存」が問題になりやすいのはこのためです。
「叱る依存」が子どもに及ぼす影響
- 感情的な問題: 叱られると、子どもは恐怖を感じ、自信を失い、怒りを感じたり、落ち込んだり、不安を感じたりする可能性があります。
- 行動上の問題: 叱られると、子どもは反抗的になったり、問題行動を起こしたりする可能性があります。
- 認知的発達の問題: 叱られると、子どもは学習に集中したり、記憶したり、問題を解決したりすることが難しくなる可能性があります。
- 社会的なスキルの問題: 叱られると、子どもは他の人との関係を築いたり、友人を作ったりすることが難しくなる可能性があります。
- 身体的健康の問題: 叱られると、子どもは頭痛、腹痛、不眠症などの身体的健康上の問題を発症する可能性があります。
子どもの為を思って叱っていたつもりが、いつしか子どもに悪影響を及ぼし、親子関係がさらに悪化してしまう、なんてことにもなりかねません。
では、子育てにおいて「叱る依存」を回避するにはどうしたらいいのでしょうか。
子育てで叱る依存を回避する方法
子どもとのコミュニケーションをとる際に、「叱る」という行動をなるべく減らすことは「叱る依存」を回避するためにはとても大切です。そうはいっても親とて人間。怒りの感情をすべて否定して無かったことにするのは、逆にストレスになってしまいますね。
「叱る」以外にできること
- ポジティブな強化を使用する: 子どもが望ましい行動をとったときに、子どもをほめ、報酬を与えます。
- タイムアウトを使用する: 子どもが望ましくない行動をとったときは、タイムアウトを使用して行動を止めさせます。タイムアウトは、子どもが落ち着いて振り返る時間を与えます。
- 共感を使用する: 子どもが感情的に不安定なときは、共感を示して理解していることを示します。
- 自分の感情を管理する方法を見つける: イライラしているときは、しばらく休んで落ち着くようにしてください。
- 助けを求める: 叱る依存に苦しんでいる場合は、専門家に助けを求めることも有効です。セラピストやコーチは、「叱る」に対して健康的な代替案を見つける手助けをしてくれます。
子育てで叱る依存を回避するには、自分の心理状態を整えること、子どもに対する自分の期待を抑えること、子どもに自立してもらう環境作りなどが挙げられます。
自分の心理状態を整える
子育てで叱る依存を回避するには、まず自分の心理状態を整えることが重要です。子育てでは、ストレスがたまることも少なくありません。そのため、ストレスを抑え、自分の心理状態を整えることが大切です。
怒りの感情を理解し、それを建設的な方法で表現する方法を学ぶ「アンガーマネジメント」はとても有効な手段です。自分の怒りを数値で表したり書き出したりすることで客観的に自分と向き合えるようになります。
子どもに対する自分の期待を抑える
子育てで叱る依存を回避するためには、子どもに対する自分の期待を抑えることが大切です。
つい子供に対して望ましい態度や行動を求めてしまいますが、そこをぐっとこらえて子どものタイミングや気持ちを尊重しながら接していくことが重要です。
子どもに自立してもらう環境作り
子育てで叱る依存を回避するためには、子どもに自立してもらう環境作りが重要です。
叱ることで子どもが委縮してしまい自尊心が低下しやすくなることは先に述べましたが、子どもが自分で行動を決め、自分で解決する力を身につけられるようになるために、子どもの自立を促すような声掛けや環境作りをしてあげることが大切です。
何にせよ、子どもを否定的に判断していると抑止の方向に働きかけてしまいがちなので、子どもの可能性を信じていろんなことに挑戦させてあげたいですね。
叱る依存を改善するには
叱る依存を自覚する
叱る依存を改善するためには、まずは叱る依存を自覚することが大切です。叱る依存を自覚するためには、子育てをしている時に自分が叱るのは必要なのかどうかを考えることが重要です。
「叱る」立場にある人に共通しているのが「権力者である」という点です。その部分を自覚することによって、一方的な権利の行使(=「叱る)を防ぐことにつながります。
「叱る」をきちんと終える
「叱る」ということは、子どもの身に危険が及ぶときや周りに迷惑がかかりそうな場面などでは大切な手段です。
ですが、それを普段から日常的に使ってしまうと慣れが生じてしまい、本当に伝えたい注意があるときに正しく伝わらなくなってしまいます。
重要なのは、子どもがやめなければならない行動をやめたときには「叱る」ことを終えるということです。
だらだら叱り続けて後で後悔するのではなく、ピシッと注意する部分だけ叱ったらそこでおしまい。叱る側は気持ちを切り替えるなどして自制する努力をしましょう。
参考にした書籍・リンク
叱る依存を克服するためのサポートが必要な場合は、村中氏の本が役立つかもしれません。
専門的な表現もありますが、叱っているときに脳内で何が起こっているのかや、叱る依存をどのように手放すかが書かれていてとても勉強になります。
また、以下のリンクも参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、「叱る依存」とその影響、改善策についてご紹介しました。
- 「叱る依存」とは、脳の報酬システムを介して機能する「叱る」という中毒性のある行動に依存する状態のことを言います。
- 「叱る依存」の子どもへの影響として、感情的・身体的・認知的・社会的など様々な悪影響が考えられます。これによって親子関係が悪化する可能性があります。
- 「叱る依存」を回避・改善するためには、叱る側の人間が依存状態を自覚し、相手に対しての期待を抑えてポジティブなコミュニケーションを図ることが有効です。
私はこの本を読んで、自分が気分によって子どもたちを叱ってしまっているなと気づき、反省しました。それはたいてい自分に余裕のないときなので、やっぱり自分のご機嫌は自分でとらないといけないな、と改めて思いました。
毎日忙しくて「それどころじゃなーい!」と思うこともしょっちゅうですが、「叱る」ということに親として責任をもって子どもに向き合っていきたいなと思います。
子どもを叱りすぎて悩んでしまう親御さん、たくさんいらっしゃると思います。自分を責めないで、ちょっと考え方や気持ちを切り替えて、リラックスしてお子さんとの笑顔の時間を増やしていきましょうね。
さー!今日も子育て、頑張りましょう!!
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